「枚方カントリー倶楽部」は、京都と奈良の中間、都市化のスプロールに呑まれて、今やゴルフコースのすぐ傍にビルが建つ発展ぶりだが、昭和34年9月の開場当時は、1番ティから遥か先の淀川あたりまで見渡せる「全体に飛行場のようだった」という記憶が残る。

枚方は、歴史的には辺隅ではない。天平の昔から栄えた土地で、聖徳太子建立の山田池、帰化人百済王・敬福の百済寺など史蹟も多い。コース設計を担当する井上誠一のもとに、枚方CCの初代理事長となる尾上実夫から「枚方にゴルフ場計画がある」と話が入ったのは、昭和33年秋だった。

現地に行くと、そこは以前踏査したことのある土地で、砂利混じりの地層と急峻な地形で、井上は断念した記憶があった。しかし、京阪に近く利用価値は大きい。

「原地形は雄大、大尾根の移り変わりも非常にスケールが大きい」「非常にダイナミックなコースであって、然も各ホールが夫々独自のキャラクターを持っているコースができる」と、井上は述べている。

18ホール、どのティからもOB杭は見えない

「アベレージ級の人には平坦で広いフェアウェイ、上級者にはストラテジックなボールライとなる変化を提供しよう」と設計テーマが決まった。

昭和33年10月29日起工式、34年春には芝張り、秋には完成と理想的なペースで工事は進み9月23日、本オープンを挙行。私の知る限り「関西で一番痩せた土質」の土地が、「こせこせしない雄大なコース」に変身。18ホールどのティから見ても、白いOB杭は見えないコースに仕上がった。

画像: 1番ホール/413㍎/パー4 左ドッグレッグのコーナーには7つのバンカー群

1番ホール/413㍎/パー4 左ドッグレッグのコーナーには7つのバンカー群

画像: 3番ホール/562㍎/パー5 打ち上げ、グリーンには自然の地形を活かしたアンジュレーション。グリーンに上がると枚方の街並みが見える

3番ホール/562㍎/パー5 打ち上げ、グリーンには自然の地形を活かしたアンジュレーション。グリーンに上がると枚方の街並みが見える

画像: 5番ホール/155㍎/パー3 池越えの美しいパー3で日本庭園の趣がある。春には樹齢50年以上の桜が満開になる名物ホール

5番ホール/155㍎/パー3 池越えの美しいパー3で日本庭園の趣がある。春には樹齢50年以上の桜が満開になる名物ホール

井上の心残りは用地事情で1、2、3番が他の15ホールから孤島化してしまったことだった。しかし
50年経た今では、午後2時ごろから4〜9番だけを回ったり、朝駆け、夕討ちに1〜3番のみをプレーしたり、会員たちは自在に楽しんでいるようだ。

画像: 18番ホール/454㍎/パー4 やや打ち下ろしのパー4だが、距離は長い。平成元年にグリーン手前に池が造られ景観美は高まったが、2打目の正確性も求められるようになった

18番ホール/454㍎/パー4 やや打ち下ろしのパー4だが、距離は長い。平成元年にグリーン手前に池が造られ景観美は高まったが、2打目の正確性も求められるようになった

ちなみ世界ナンバーワンの評価を受ける米国の「パインバレー」も、1〜4番で一旦クラブハウスに戻るルーティングになっている。

画像: 桜の季節の2番ティーイングエリア

桜の季節の2番ティーイングエリア

画像: クラブハウス

クラブハウス

枚方カントリー倶楽部
大阪府枚方市杉北町1-4622 ☎072-858-8331
開場日:昭和34年9月23日
コース:18H/6929Y/P72
設計:井上誠一
公式ホームページはこちら

美しい日本のゴルフコースより(弊社刊)

取材・文/田野辺薫

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