今年の日本プロ東西対抗は西軍に軍配が上がった。これで西軍は4年連続の優勝。圧倒的な強さだが、さて、東西を代表する24人に、もしドラコン、ニアピンを競わせたら誰が勝つ? ゴルフダイジェスト誌が独自に企画し、ロングホール(パー5)とショートホール(パー3)のプレーぶり、攻め方を追ってみた。話題のツーピースボールは飛んだか? 転がったか?

編集部注/1982年当時、プロの使用球は「糸巻きボール」が主流だったが、「2ピースボール」の登場によって、非力なプロ、女子プロが2ピースに変更しはじめた頃。国内男子は1992年頃から、米ツアーでは2000年以降、「2ピースボール」へのスイッチが本格化する。ドライバーはパーシモンの時代。この企画は、そんな時代の「糸巻きVSツーピース」の性能を比較検討したものです。

【ゴルフコースの評価基準】
ゴルフコースを評価する「7つ」の項目がある。①ショットバリュー、②難易度、③デザイン・バランス、④ホールの印象、⑤景観の美しさ、⑥コンディション、⑦伝統・雰囲気。この7項目は米国ゴルフダイジェスト、ゴルフマガジンが発表するランキングの評価基準にもなっている。当コラム【伝説の名勝負。ヒーローの足跡】は、このコースでどのような「歴史」が作られ、「公式競技」を開催したかを掘り起こすことで、「伝統と雰囲気」をみるものです。

勝手にドラコン。ツーピースボールで鷹巣南雄が第3位

画像: 湯原信光のドライバーショット。284ヤードで「勝手にドラコン」の1位になった

湯原信光のドライバーショット。284ヤードで「勝手にドラコン」の1位になった

まず、ドラコンホールに選んだのは8番ホール。

距離は431メートル(471ヤード)とロングホールとしては短く、プロにとっては、完全にバーディ狙いのホール。フェアウェイ右サイドのバンカー手前まで、250メートル。そこから軽く右へドッグレッグしている。

「ティショットの落とし所は、フェアウェイのセンターよりやや右だね」(羽川豊)

とにかく、飛ばせば飛ばすだけ有利というホールだ。楽にアイアンでグリーンを狙える。

結果を先に言ってしまうと、湯原信光が260メートル(284ヤード)飛ばして見事、ドラコン。

250メートル地点に落ちたボールは、トントンとよく転がり、右バンカー横のフェアウェイど真ん中に止まった。

1番ボギー、3番ダブルボギー、5、6番でも連続ボギーと「ボギーゴルフ」を展開して8番ティグラウンドに立った湯原の表情は険しかった。

「とにかく、もう4オーバーなので思いきり叩きましたよ」と、なかばヤケッパチで叩いた一発だった。

「セカンドのクラブ? イージーファイブ。5番アイアン」

そのセカンドショットは楽にグリーンオンして、バーディ。

2番目によく飛ばしたのは金本章生。ランが出て、飛距離は250メートル(273ヤード)。

昔は、「飛ばし屋の金本」と呼ばれたくらいよくドライバーを飛ばしたもの。しかし、若い選手が次から次へと生まれてくるプロの世界では、金本ももう「オジン」。

「やっぱり、湯原は右のバンカー横まで飛んだか…」

「会心のドライバーだった」(金本)が、もうヤングパワーには勝てない、といったところ。

それでも、湯原と同じく5番アイアンでセカンドを打って、難なくバーディ。

さて本命の倉本昌弘はどうだったか。

画像: 飛ばし屋・倉本昌弘のドライバーショット

飛ばし屋・倉本昌弘のドライバーショット

ティグラウンドでスプーンとドライバーを2本とりだしときは、一瞬、ファンをハラハラさせた。でも、そこは、茶目っ気たっぷりの倉本のこと、わざとスプーンを持ってファンを動揺させた? 迷わず、しっかりとドライバーで勝負。

「上げて下ろすだけ」が持論のドライバーショットは、やや右めに飛び出し、右バンカー手前245メートル(267ヤード)で止まる。ラフにくわれて、ランが出ない。

「フェアウェイに落ちれば、もっと転がって飛んだのに…」と言いたげな倉本。

しかし、「さすがポパイ」とギャラリーをうならせたのがそのあと。セカンドショットに選んだクラブが、なんと7番アイアン。

「軽く打ったのに…」(倉本)ラフからのボールは、ドロップしてグリーンをオーバーしてしまった。その奥からのアプローチも3メートルほどオーバーして、返しのパットも入らず、結局、パーに終わる。

ところで、ツーピースボールで飛ばしを狙ったプロはどうだったか。

杉原輝雄と前田新作は、左の深いラフにつかまり、ツーピースの威力を発揮できずに終わる。

画像: いち早くツーピースボールを使い出した杉原輝雄のティショット

いち早くツーピースボールを使い出した杉原輝雄のティショット

もし、杉原のボールがフェアウェイをとらえていたら、楽に羽川のボールを抜いていた?

同じくツーピースを使用した金井清一は、ちょっとリキんでトップボール。

もうひとり、非力な入江勉にとっても、ツーピースは最大の武器。ところが、入江のドライバーショットは大きく曲がって左の斜面に。あわやOB。

さて、意外なツーピースボールの不振に、ただひとりよく飛んでいたのが鷹巣南雄。7~8メートルのランをかせいで、24人中なんと3番目の飛ばしっぷり。

スタート前、「俺は飛ぶからツーピースは使わないよ…」なんていっていた鷹巣。ところが、この言葉が曲者。8番ホールまでツーピースを温存していたのだ。

「やっぱりツーピースは飛ぶ」を証明してくれた一発だった。

東西対抗の舞台となった「あさひヶ丘カントリークラブ」を設計した富澤誠造の特集はこちら↓

勝手にニアピン。あわやエースの新井規矩雄は「糸巻きボール」

さて、ニアピンは──。

ホールは前後するが、7番ホール。距離はショートホールのなかでは一番長く、167メートル(19
2ヤード)。池越え。池にいるアヒルが、うだる暑さをよそに気持ちよさそうに水あびをしている。池越えといっても高低差はほとんどない。だから実質も167メートルだ。

風は最初から最後まで、ややフォロー。ピンの位置は手前から13メートル、グリーン左エッジから8メートル。ティグラウンド上からは、やや左に見えるが、ほぼ中央。やさしいピンの位置だから、思いきって狙える。

まず中村通。6番アイアンで軽く打ったボールは軽いフェードを描いてピン手前にワンバウンドして3.5メートルにピタリ。

「最高やね」と満足気に楽々バーディ。

中村ニンマリだが、次の男があっさりとこの記録を破ってしまった。ただ今絶好調の新井規矩雄。

画像: 新井規矩雄。ラウンド中のひとコマ

新井規矩雄。ラウンド中のひとコマ

5、6番アイアンを手にティグラウンドへ。キャディさんに「どっちがいい」と聞いたが、キャディさんは困惑気味。で、「いいよ自分で決めるから」と6番を手にした。そして抑えたスウィング。フォローはスリークォーターで止める。

ボールは高々と上がり、しかも、ピンに一直線。「まさか」と思ったら、ピン手前で右にバウンドしてピン右85センチ。当然のことながらギャラリーの大拍手。

絶好調の面目躍如。「入るんじゃないかと思ったけど、右にキックしたからね」と、85センチに寄ったというのに、「エースにならなかったから」ちょっと不満? この後、19人の選手が挑戦したが、この記録は破れずじまい。

今回はグリーンがよく止まると定評だったが、さてツーピースボールはどうなのか。

入江勉はラフに入れてわからずじまい。

杉原は5番アイアンで打ったが、ボールはピンをキャリーでオーバーしてグリーンに落ちたが止まら
ずにトントンと転がり奥のラフまで。やっぱりツーピースは止まらない?

「いや、そんなことありませんワ。あれはフォローの風にのってしまったから止まらなかったんです。でも、いくら飛ぶといっても6番アイアンでは手前のバンカーが気になるし…。ショット自体はよかったと思います」(杉原)

あくまでも転がったのは風がフォローだったからと。そういえば後続の前田新作のボールはよく止まった。6番アイアンだったがボールは高く上がり、グリーンに落下。そして、ほぼ真上にバウンドしてピタリ。糸巻きもかくやという程の止まりようだった。

「転がり? 関係あらへんよ、糸巻きもツーピースも。ダウンブローに打つ人は止まらんかもしれへんけど、ボールを横から払っていく打ち方だからね。スウィングで打つから、ボクらには合ってますワ」

1、4、8、10、11、12、13、14、15、18。
これは中嶋の最終日、バーディを取ったホール。
アウト33、イン29は10アンダーの62。

画像1: 1、4、8、10、11、12、13、14、15、18。 これは中嶋の最終日、バーディを取ったホール。 アウト33、イン29は10アンダーの62。

「結婚した時のような気持ちですよ。記念すべき29です。もちろん試合では初めてですよ」

中嶋の顔はほころんだまま、もとに戻らない。それほど嬉しい快スコアだ。

画像: 絶好調だった中嶋常幸のアイアンショット

絶好調だった中嶋常幸のアイアンショット

東西12人ずつの選手による対抗戦。よいスコアをマークできれば、それだけチームにも貢献することになる。東軍は敗れてしまったが、中嶋は東のエースとしての役割を十分に果たした。嬉しいのは当然だろう。

画像: 東軍

東軍

画像: 西軍

西軍

それにしても中嶋の爆発力はすばらしい。2日間17アンダーは、過去、呂良煥が持つ36ホールの最少スコア13アンダーを破る日本新。さらに2日間ともインで日本タイの6連続バーディ。

「コンパクトなスウィングにして、技術的にも落ちつき、納得して打てます。ワールドシリーズには日本の恥にならないようガンバリます」

画像: ホールアウト後、ギャラリーにボールを投げ入れた

ホールアウト後、ギャラリーにボールを投げ入れた

中嶋は、ワールドシリーズに向けて出発する。1978年以来の渡米だが、今の当たりならアメリカでの活躍も期待できる。

画像2: 1、4、8、10、11、12、13、14、15、18。 これは中嶋の最終日、バーディを取ったホール。 アウト33、イン29は10アンダーの62。

(週刊ゴルフダイジェスト1982年9月1日号)

1982年日本プロ東西対抗最終結果(個人)
あさひヶ丘CC/6071ヤード/パー72
1位 ‐17 中嶋常幸(東軍)
2位 -11  鈴木規夫(西軍)
3位  -9  新井規矩雄(東軍)
4位  -8  中村通(西軍)
     山本善隆(西軍)
6位 ‐7  金本章生(西軍) 
      藤木三郎(西軍)   
      川田時志春(東軍)
9位 ‐6  長谷川勝治(東軍)
10位 ‐5   金井清一(東軍)  
     羽川豊(東軍) 

あさひヶ丘カントリークラブ
栃木県栃木市小野口町1351
TEL 0282-23-7181
コースタイプ/丘陵コース
グリーン/ベントの2グリーン
会員権/預託金制で譲渡可
27ホール/筑波3303ヤード/日光3491ヤード/富士3532ヤード/パー108
筑波・日光/6524ヤード/パー72
コースレート70.5/スロープレート126
設計/富澤誠造
開場/1977年
公式ホームページはこちら

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画像: golfdigest-play.jp
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