ゴルフ場メシ向上委員会は「高くて」「マズい」と何かと不評の多いゴルフ場の「味改革」に役立つヒントを探しながら、誰もが食べて旨いと感じる味覚の標準値を探ります。「旨いの基準」は本家本元、本流の味を提供し続ける伝統店、人気店のメニューを考察し、多くの人に支持される味の秘密に迫るものです。
実食! 元漁師こだわりの極上黒マグロとは……
店内はカウンター席が6席と小上がりに座卓が2卓。カウンター前の鮨種の入れられた冷蔵ケースの中にはいかにも脂がのった上物のマグロブロックがどんと鎮座している。
「いらっしゃい」
元漁師だという店長の寺田繁夫さん。慣れた手つきでマグロの柵を切る。1枚1枚が分厚い。本日の目当ては、三崎のマグロ問屋も太鼓判をうつ「マグロ丼」だ。
「はい、お待たせしました」
きめ細やかな霜降りが光るピンク色の大トロと、鮮やかな紅色の中トロが4切れずつ、ご飯が見えないくらい贅沢にのっている。
まずは大トロから食してみる。口の中に入れると舌の上で脂がスーっと溶けるのがわかる。ただギトギトしたものとは違い、自然なほどスーと溶けた脂がシャリと一体化してなんとも美味しい。
続いて中トロ。大トロに比べて心地よい歯応えと、上品な脂がじわっとにじみ出て口の中に甘みが広がる。そしてシャリに敷いてある海苔の磯の香りがマグロを一層引き立てる。寺田さんがそこまで黒マグロにこだわる理由とはいったいなんなのだろう。
瞬間冷凍だから生マグロよりも新鮮なんですよ!
「旨いからですよ。せっかく三崎に来たんだったら旨いものを食べてほしいと思う」
「本当に、ただそれだけですよ。三崎に水揚げされるマグロは遠洋漁業のものだから、すべて冷凍。冷凍というとよくないイメージを持つ人が多いと思うんですけど、それは違います。今は冷凍技術が優れているから釣ったそばからマイナス60℃で瞬間冷凍する」
「釣ってから水揚げして食するまでに時間がかかる生マグロよりも、本当は新鮮なんですよ。味もまったく落ちないしね。ある意味水揚げしたての状態をそのまま食していただけるんです」
「うちのマグロは冷凍モノだよ!」というと怪訝そうな顔をする人も結構多いそうだ。
「これを見てください。マグロの断面が少しギザギザしているのわかるかな。これは冷凍の柵を解凍したときに身が縮むからなんです
「水揚げしてすぐ瞬間冷凍したために、解凍時に死後硬直して身が縮む『ちぢれ』という現象。漁師の間では『ちぢれのマグロ』と称されるほど、新鮮で味のいい状態なんですよ」
「旨いマグロにはこれがあるんです。覚えておいて損はないと思いますよ」
マグロへのこだわりは三崎で一番ですよ、と三崎のマグロ問屋も太鼓判を押す「たち吉」。マグロ好きのあなたにも満足できる一杯だと思います。
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【今回紹介した「旨いの基準」店】
女子プロも大好物! 東名CCの「鉄火丼」
女子ツアー「スタンレーレディス」の舞台となるゴルフダイジェストグループの東名カントリークラブの名物といえば「豚汁定食」と「鉄火丼」。コースの近くに沼津漁港があるため、地元メンバーは“旨い魚の味”を知っている。
そんな魚の目利き揃いのメンバーに長年支持されてきた「鉄火丼」。いうまでもなくマズイわけがない。開場以来の人気メニュー豚汁定食には「マグロ山かけ」が付いてくるので、豚汁もマグロも食したい人におすすめ。
PHOTO/Takanori Miki
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