カレーといえばゴルフ場の定番メニュー。とくに歴史あるコースでは「ゴルフ場の品格はカレーを食べればわかる」と語る支配人もいるほど、こだわりを持っている。今回のシリーズでは、60年以上の長きにわたり、受け継がれてきたカレーを厳選、一皿に込められたストーリーを紹介。第四回(最終回)は兵庫県川西市にある「鳴尾ゴルフ倶楽部」です。

オリエンタルホテル、神戸ゴルフ倶楽部、そして鳴尾へ

「鳴尾GC」は、2020年に100周年を迎える。そのルーツを探ると、日本最初のゴルフ場「神戸GC」に辿りつく。

1903年にアーサー・グルームが六甲山頂に9ホールのゴルフ場を開場させた。しかし、冬季は積雪のためプレーができない。グルームの仲間だった、英国人のW・B・ロビンソンが開業を目前にしていた阪神沿線の魚崎町横屋に6ホールの「横屋ゴルフアソシエーション」を設立。

1914年12月に鳴尾競馬場跡へ移転して「鳴尾ゴルフアソシエーション」となる。「鳴尾GA」にクラブハウスはなく、コースに隣接する岡田家を利用していた。そこに、オリエンタルホテルから馬車を使ってカレーを運んでいたという話しが残る。

なぜ、18キロも離れたオリエンタルホテルからわざわざ食事を運んだのか。その答えは、またしても「神戸GC」にあった。神戸GCのグルームは、1895年の時点でオリエンタルホテルの共同経営者であり、1901年には会長に就任している。その繋がりがあって、名物のカレーを始め、食事類をオリエンタルホテルから取り寄せることになったのだ。

伝統の味「ビーフカレーライス」

さて、100年の歴史を誇る「鳴尾GC」のカレーとはどんなものだろうか。「鳴尾GC」の料理長・吉田伸嗣さんは、赴任したとき「オリエンタルホテルをルーツに持つカレーとはどんなものか」と、当時のレシピ探しから始め、実際に同じように作り始めた。

100年前と現在では、使うスパイスや、玉ねぎの調理時間なども異なることから、味はシンプルという印象だったそうだ。

画像: 100年前のレシピで作ったカレー(左)と現在のカレー(右)。調味料などの違いから、味だけではなく仕上がりの色も異なる

100年前のレシピで作ったカレー(左)と現在のカレー(右)。調味料などの違いから、味だけではなく仕上がりの色も異なる

オリエンタルホテルでは、すべての食材を、直接産地から取り寄せる。その理由は「大事なのは食材にあり、すべて本物でなければならない」、そして「同じ材料を使わなければ、同じ味にはならない」から。そのポリシーを頑なに守っている。

鳴尾の吉田料理長も、料理は「正直な食材で作りたい」と言う。100年という歴史のある鳴尾GCは、親子三代に渡るメンバーもいて「子供のころ食べた味」が受け継がれている。

画像: 料理長の吉田伸嗣さん

料理長の吉田伸嗣さん

「100年前のカレーを当時のレシピ通りに作ると、かつて働いていたホテルのカレーの味とよく似ていました。英国がインドを植民地にしていた時代、さまざまなスパイス類が英国人に渡り、ゴルフとともにカレーが日本に広まったのかもしれませんね」(吉田料理長)

“あの懐かしい味”のために妥協せず、昔のレシピを基本にして「うちのコースのカレーは美味しい」と喜ばれるよう日々努力を重ねている。

画像: 現在、鳴尾GCで提供しているカレー。当時のオリエンタルホテルのレシピがベースに作り上げられる

現在、鳴尾GCで提供しているカレー。当時のオリエンタルホテルのレシピがベースに作り上げられる

鳴尾GCでプレーできる貴重なゴルフ旅はこちら↓

週刊GD2019年2月5日号より

画像: 伝統の味「ビーフカレーライス」

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